第4回ナナメの会レポート
上下関係でも同期でもない「ナナメ」の関係を築くために!
2021年8月30日
Caree Onの主な活動のひとつとして「ナナメの会」というオンラインイベントを月に一度開催しています。
親や先生は「タテ」の関係、友だちは「ヨコ」の関係、そのどちらでもない「ナナメ」の関係。違う業界や異なる業種の人との世代を超えた関係というのは学生にとって貴重なものになってくるはずです。
Caree Onでは学生に「ナナメ」の関係を作れる場を提供しています。
Caree Onが推薦する社会人経験豊富な「オトナ」をゲストスピーカーに迎え、学生も社会人も一緒に参加できるイベントです。

今回は8月7日(土)に行われた第4回目の様子をご紹介します。
ゲストスピーカーはアメリカ在住の田中宏明氏。米国大手IT企業勤務。
企業の中で働きやすい環境を作る、という役職に就かれています。
ニューヨークならかっこいいと思って就職
現在、家族4人でシアトルに在住。日本生まれの日本育ちで、高校生の時にテキサスに交換留学したそうです。
高校卒業後アメリカの大学に進学し、ホテルマネジメントを勉強、「ニューヨークならかっこいい!」という理由でニューヨークのホテルに就職。7年間勤務しましたが、9.11をきっかけに帰国されたとのこと。
宮崎シーガイアの再建に参加、東京のコンサル会社を経て、誰もが知る米国大手IT企業に転職。 転職当初は、日本法人で、人材開発に取り組みます。その後、本社のある米国のシアトルにやってきました
自己紹介が終わると、さっそく参加者からの質問があり、対話形式でイベントが続きます。
会社が大きくなると自分は何をやっているのか分からなくなる人もいる
Q:田中さんがやっているお仕事は、会社の人が仕事をしやすい環境をつくっているということですか?
そのとおりです。
今、私が働いている会社は、自分が入社してからも10倍くらいの大きさになっているので、会社の規模が大きくなってくると、小さかった頃とはまた別の問題がおきてくるんです。
人数が少ないときはお互いの顔が見えるし、気心が知れている。でも大きくなってくるとそうはいかなくなってきますからね。
事業説明についても以前は簡単でしたけど、今は事業内容も多く、もう一言では説明できない。成長のスピードが速い会社なので会社はどんどん大きくなっていきます。そうすると、社内で自分が何をやっているのか分からなくなったり、自分の仕事のことで迷ってしまう人が出てくるんです。だから人と人をつないであげたり、会社に来ることが楽しくなるようなことを考える役職が必要になってきます。会社が小さいときには必要がなかった役割ですね。
Q:お仕事は楽しいですか?
新しいことが次々あるので楽しいですよ。
最近は今までの経験が参考にならない問題が多くて、どう解決するかということを日々考える楽しみがあります。
Q:そういったお仕事の課題や問題は、どう乗り越えていくんですか?
自分ひとりでは解決できなくても、社内には頭のいい人がいっぱいいるので、相談すると誰かがヒントをくれたり、アイディアをくれたりします。社内には本質的なことをロジカルに伝えられる人が多いと感じますね。
社内システムを使って、社員を検索してみて、ちょっと相談してみたいなという人がいれば、どんどん連絡してみます。違う部門の人でも、会ったことがない人でも「こんな仕事したことないですか?」って聞いてみるんですね。自分もそんな風に聞かれたことがあります。「あなたと話したことないけど、教えて」という感じです。分からないことは教えあいましょうっていう文化が社内に根付いているので、人に相談すると何かしらヒントに出会えます。
Q:お互いに教えあう、提案しあえる文化はもともとあったんですか?
前からありましたね。会社の規模は変わってきているけど、本質的にはずっと同じだと感じますよ。
私が働いている会社には、行動規範があって、簡単に言うと、お客様が何を求めてるか、というのを一番に考えます。それはもう憑りつかれたようにお客様が何を求めているかを全員が考えているので、そういう環境で仲間と争いは起きないです。
自分がやりたいことではなく、お客様がほしいものを常に考えているので個人のエゴや利益は発生しない価値観の会社なんです。
常に自転車を全速力で漕いでいく行動派な体質もあるので、時につらいときもありますけど(笑)
肩書や場所の名前は考えない
Q:よいキャリアの積み方が知りたいです。
今の世の中はキャリアというよりも「どういう考え方ができるのか」とか「どういうふうに変化に対応できるのか」「どんなコミュニケーションが取れるのか」ということの方が大切になってきていて、肩書とか、場所の名前は考えない方がいいんじゃないかな。
有名な名前の学校とか会社に所属していたというのはこれからどんどん意味がなくなってくると思う。
違う文化や違う言語を乗り越えて、自分の伝えたいことをどう伝えるか、相手の本質をいかに理解できるか、そういう力の方が大切になってくると思います。問題解決に対する力を身に着けることが大事。
今抱えている中で、一番複雑な問題にチャレンジするとか、今の仕事から学んでいることは何なのかを考えること。技術的なことではなく、今の仕事はどんな問題を解決しているのか、常にそういったことを考えることで問題解決能力が身に着いてきます。
「問題の解決の仕方」を身に着ければなんでもできるようになってくるからね。
社内の人たちは皆自立していますが、自分を出しすぎることもない。あくまで謙虚に多様な考えを受け入れること、これをとても大事にしています。個々の会社に限らず、世の中全体でこれからはそういったバランス感覚が大事になってくると思います。
英語は洋服を着るような感覚で使えるようにならないと
Q:将来海外で働きたいと思っているのですが、アドバイスはありますか?
海外で働くには文化の壁をどうこえるかという問題があるけど、それはもう経験するしかないんだよね。
英語については、とにかく「伝える力」を養うこと、洋服を着て人前に出るくらいの感覚で言葉は持っておかないと土台に立てないから。
言葉がしゃべれないのは、「意見がない」と思われてしまうので、とにかく使っていくしかないかな。
Q:世代間のギャップってアメリカでもありますか?
それは日本と同じでアメリカにもあります。
コミュニケーションの取りかたが違うとか、何を欲しているか分からないとか、こちらのリーダーも言ってます。自分たちと違うからどういうものがいいのか分からない、という悩みは日本もアメリカもあまり変わらないですね。
同じように悩んでいますよ(笑)
田中さんのストーリーに対してさまざまな質問が飛び有意義なコミュ二ケーションが行われる中、イベント後半では、学生から自分自身の就活についての考えや問題提起がありました。
会社にあった自分でいるべきなのか、自分を受け入れてくれる会社を見つけるべきなのか
Q:人事部では採用経験が長い人が多いので、自由にやってる自分たちはどんなふうにとらえられているのかなと思うときがあります。会社に合った自分でいるべきなのか、自分を受け入れてくれる会社を見つけるべきなのか疑問です。
それは難しい問題だよね。
「相互理解」と「自分を持っている」いうことがとても大事だと思う。
相手の大切にしていることを学ぶことも大事なことだから、「相手が大事にしていることなら、なにかいい特徴があるのかも」というくらいの感覚で、いろんなことが体験できるといいね。無理に自分を出す必要はないけど、「自分」という核は持っていた方がいい。
Q:ギャップとは違うかもしれないですが、若い人の中でも価値観とが考え方が全然違います。
金銭感覚とか違う価値観を持った人たちの考えを読み取るのってなかなか難しいです。自分が住んでいる世界とは違う世界を理解するのってどうしたらいいですか?
自分の意見とは違うけどまずは聞いてみようかとか、苦手なものに触れてみるとか、普段会わない人、一緒に遊ばない人とも遊んでみるとか、そういうのが良いと思うな。
違うものを拒否するのは本能だから、違う価値観のものを「いいですよね」って言われてもなかなか「そうですね」とはならないよね。
海外に出るっていうのは究極のやり方かもしれないけど、できる範囲でちょっとずつ試していくしかない。
多様な考え方、経験、知識を持った人たちがいるところでは「理解できない」という問題が必ずおこる。でもそういった中で良いことも起こるし、生活が豊かになったりもする。それはもう自然のルールなんだと思います。
始終和やかながら活発な意見交換の場となった「第4回ナナメの会」
学生にとっては親や先生でも友達でもないまさに「ナナメ」の関係の人から話を聞ける貴重な機会となり、一緒に参加した社会人の方とも今後「ナナメ」の関係を築きやすくなったことと思います。CareeOn主催「ナナメの会」は、毎月ゲストスピーカーを迎えて開催しています。