生き方を選択するキャリア支援サービスCareeOn開発者の方に
サービス誕生の思いを聞きました。
2021年9月1日
「CareeOn」には、様々な職種、業種の社会人が学生をサポートするキャリアサポーターとして登録しており、学生と社会人が接する場を提供しています。
今回はサービスを開発された正岡夏門さんにお話を伺いました。

Q:Caree Onはどういった思いから生まれたサービスなのか教えてください。
A:多くの学生や新入社員と触れ合ったり、僕自身の体験としても、
日本の学生って他の国に比べて自己肯定感が低いのではないか、と感じる事が多くありました。
これは実際、国の資料にもそういった調査があるのですが、これは僕だけではなく僕の周りの方々も感じる事でした。
それ自体を解決しようとしているわけではないですが、そういった問題意識や、
どうしてなんだろうという思いがサービスを始めるきっかけになっています。
そもそも大学までの学校教育と社会人になってからの人材育成というものにギャップがありますよね。
大学までは社会との繋がりというのはほとんどないのに、社会に出ると急にいろいろなことが求められます。
実際、社会人1日目に「あなたたちはプロです」って急に言われて、
全然ピンとこなくて戸惑ったことって多くの社会人が経験していると思うんです。
そのギャップってできるだけ少ない方がいいですよね。
実際に働いている社会人の人と話すことで、少しですがそのギャップを埋めていきたい、という思いと、
そういうことが自己肯定感を上げることにつながっていったらいいな、という思いがあります。
Q:大学と社会人との人間関係に注目された理由は何ですか?
A:現代社会の学生って親以外の大人に触れる機会がすごく少ないんです。
ちょっと悩んでいることがあるけど親には言いにくい、
でも友だちではちょっと頼りないって時に気軽に聞ける大人がいないんです。
本当だったら身近な社会人である、近所のおじちゃんとかおばちゃんに聞けたらいいんですけど、
今の時代なかなか難しいですよね。
「Caree On」は近所のおじちゃんおばちゃんと話せるような感覚で、
社会人を身近な大人として触れ合えって欲しい、という思いがあります。
Q:正岡さん自身も大人と話す機会がなくて苦労されたんですか?
A:私自身はその点恵まれていて、大学の先輩とのつながりも多くありましたし、就職も先輩の紹介がきっかけでした。
でもそういう機会がない学生も多いんだなということも就職先で他の同期や新入社員と触れ合う中で学びました。
新卒で入った会社は学歴の高い人が多くて、有名大学の人たちばかり。
更に都心の大学では先輩のつながりなどや情報共有なども豊富で。
先輩とのつながりといっても地方大学では限りがあって、そもそもいろんな先輩と知り合う機会が少ないし、
大学も孤立していたりします。それってすごく勿体ない気がしていました。
地方大学は都心に比べると、どうしても身近な大人のサンプルが少なくて、
外からの情報が限られてしまっている側面があります。
そうすると、将来の夢や仕事の選択肢も地元で働けるものに偏ってしまったりします。
もちろんそれが悪いわけではないですが、いろいろな可能性を見ることは大事だと思います。
Q:特に地方大学の方に情報を得て可能性を広げてほしい、という事ですね。
A:「自分の夢はこれ」っていうのを具体的に持っている学生は、誰かに話を聞きたいと思ったら、
いろいろと調べようがあるんですけど、まだ具体的に決まっていない学生は誰に相談していいかまったく分からないですよね。
「夢がない」とか「将来が描けない」って決して悲観的なことではないですが、自分が社会人になってみると、
十代後半の時期をぼんやり過ごしてしまうのってすごくもったいないと感じるんです。
社会人先輩の話を聞いて、何かに気付いてその時期を過ごせたら、30代とか40代、
70代の時間まで変わってくるのではないかと思っています。
Q:社会人と話をすることで意識は変わってきますか?
A:だいぶ変わりますね。
地方では身近なサンプルがいないので発想自体が浮かばない学生は多いと思っています。
「こんなことがしたい」という希望があればいろんなこと想像できますけど、
「こんなもんだろう」と思っていると、その範囲のことしか考えられないですよね。
ポテンシャルもあり意欲的なのに、それを出せる場所がないのはすごくもったいないです。
そんな学生に、知る機会を持ってほしい。信頼できる大人や今一線で働いている人の話を聞いて、
外側からの情報を受け取ってほしいと思っています。
Q:実際に利用した学生に変化はありましたか?
A:本当にたった30分、1回か2回くらいの対話で意識が変わっていく学生を見ています。
その学生は社会人メンバー3人と話しましたが、はじめは就職の意欲がなくて、
「英語もいいや」という感じだったのが、社会人メンバーと話すうちに、どんどん意欲的になっていきました。「もっといろんな観点から自分の将来を探していいんだって分かった」と言ってくれたのがとても嬉しかったです。
毎月実施されている社会人と学生入り混じっての交流会の「ナナメの会」に参加して意識が変わった子もいます。「知らない世界に対してもっと知っていこうと思った」という感想も嬉しくて印象に残っています。
社会人メンバーにとっては普通の話をしているだけなんですが、学生にはそれだけの価値があるんですね。
一度でも意識が変わったことはとてもいい経験だと思います。
Q:Caree Onを学生にどんな風に利用してほしいですか?
A:個人個人の何かきっかけになってくれたら嬉しいと思っています。
感じ方は十人十色だと思いますが、学生にとっていい方向に変わるきっかけになって欲しいです。
今の時代、社会に無意識的に対立構造のようなものが出来上がってしまう事が多くて、
「白」対「黒」みたいにすぐなってしまいがちなんですけど、
私自身はもっとフラットな世の中になってほしいと願っています。
いろんな種類の人と関わることで「そんな生き方があって良いんだ、そんな考え方があっていいんだ」というような、さまざまなバイアスを外していきたいです。その方が生きやすい世の中になると思います。
「CareeOn」を利用していただくことで、せめて出身大学の名前というバイアスが取れたらいいなと思っています。
Q:今後Caree Onはどんなサービスになってほしいですか?
A:例えば、慶応の三田会なんかが有名ですが、同じ大学出身っていうだけで親近感をもったり、
ビジネスにもつながったりしていますよね。
出身大学が共通項になって組織や年齢を超えた関係が成立しています。
それが「Caree On」になったら嬉しいです。
規模の小さい大学とか、地方の大学はどうしても出身大学のつながりという面が薄くなってしまうので、
そこを補うようなものになっていきたいです。
大学とか出身地の壁をこえて「Caree On」が共通項になったら、
学生側にも社会人側にもメリットがあると思います。
学生には「Caree On」を使ってうまく実績を積んでほしいし、
いつかOB、OGとして戻ってきてキャリアサポートのメンバーになってくれたら嬉しいですね。
Caree Onは学生、社会人共に無料で利用できるサービスです。
学生は興味のある社会人メンバーを探してコンタクトをとることできます。
また、社会人メンバーが設定した「レッスン一覧」から好きなレッスンを探して対面で話すこともできます。
社会人メンバーは、「Caree On」が推薦する社会人経験豊富な素性のしっかりしたメンバーのみ。
今後もメンバーはどんどん増やしていきますが、審査を設けて厳選したメンバーを選出していきます。